COLUMN

中小企業・ベンチャーのための企業理念/MVV超入門➎

M&A後のMVV策定を成功させる秘訣とは?

M&A後のMVV策定を成功させる秘訣とは?

事業拡大、事業承継、M&Aなどにともなって、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)を策定もしくは改定したいという企業の皆様に、15年にわたり中小企業・ベンチャー企業の理念策定・浸透に携わってきた「企業理念ラボ」代表の古谷繁明が、そのノウハウをお伝えする本連載。

 

第5回は「M&A後のMVV策定を成功させる秘訣とは?」にお答えしていきます。異なるカルチャーや価値観を持った二つの組織を上手に融合していくポイントはどこにあるのでしょうか?

この記事では、以下の3つがわかります

  • 両社から「事業部長クラスをほぼ同数」選定してチーム構成
  • 新しい組織を牽引する「人材の選定」という意味合いも
  • 実は少ない「2つの企業理念の衝突」

解説するのはこの人

古谷 繁明

「企業理念ラボ」代表・理念浸透アドバイザー 古谷 繁明

1979年、熊本生まれ。東京大学工学部卒業後、伊藤忠商事、パラドックスを経て現職。15年にわたり、経営の移行期を迎えた数々の中小企業・ベンチャーの理念策定・浸透にたずさわる。元プロキックボクサー(J-network バンタム級1位)。

◆両社から「事業部長クラスをほぼ同数」選定してチーム構成

近年、企業のM&A案件は増加傾向にあり、それに伴い合併後のMVV策定のニーズも増しているように感じます。企業がM&Aをする理由は多岐にわたるので一概には言えませんが、それでもM&A後の企業理念の策定や浸透には共通するポイントがいくつかあります。

 

例えば、合併後も2社が相容れない状況だった場合の話を紹介しましょう。

 

これは実際に私たちがビジョン策定をお手伝いした際の話です。MVV策定チームを2社からほぼ同数で事業部長クラスを7名選定しました。ところが、プロジェクトがスタートした時点では、お互いにあまり関係は深くなく、普段は話もしないという状況でした。当然、会社の未来について話し合ったことなど一度もありませんでした。

 

2社の力関係としては、どっちが上という感じはあまりありませんでしたが、それでも全体のバランスに配慮してチームを構成しました。

 

社長は2社に対してフェアな立ち位置にある方でしたが、MVV策定プロジェクトに直接的には関わらず、事業部長クラスを主体として進めていくという方法をとりました。社長が関わるのは基本的にインタビューのみ。プロジェクトの初期に、メンバーから社長にインタビューをしてもらい言語化に必要な要素を出してもらいますが、その後の策定プロセスはメンバーを主体に進めていきます例えば、全10回のミーティングを設定するとすれば、社長が登場するのは3回ほどだけです。

◆新しい組織を牽引する「人材の選定」という意味合いも

半年におよぶMVV策定プロジェクトの後、退職に至ったプロジェクトメンバーもいます。M&A以外のケースでも、これはMVV策定一般に言えることですが、プロジェクト自体に「経営幹部育成」「次世代リーダー育成」の要素が多分に含まれています。時には社長と対峙しながら、会社の背骨となるDNAを特定し、それを未来に向けて言語化するという作業を通じて、ビジネスリーダーとして鍛えられていきます。逆に、会社の中核を担っていく覚悟と実力に自信がないメンバーは、自ら選択して会社を去るという場面も少なくありません。

 

つまり、M&A後の新しい組織を引っ張っていくのにふさわしい人材を「選抜」していく意味合いも色濃く出てくるわけです。特に企業がM&Aをするにはそれなりの理由があります。業績不振が続いていたり、既存事業が頭打ちで新しい事業に乗り出していく必要があったり。いずれにしろ、比較的短期で成果が求められる状況にあることが多いのです。

 

そういう状況下で、両組織から選ばれたメンバーが、一つのチームとなってコミュニケーションをとりながら絆を深めていくことは重要な意味を持ちますし、プロジェクトで頭角をあらわしたメンバーが、即役員などに昇格し、新しい組織を引っ張っていくことにもなります。また事業部長クラスのコミュニケーションが円滑になることで、新しい事業を創出し成長していく土台を築くこともできます。

 

したがって、M&A後のMVV策定では、買収した組織とされた組織のそれぞれから事業部長クラスの人材をバランスよく集めてプロジェクトにあたってもらうことがとても重要になってきます。M&Aの規模やその時の会社の状況にもよりますので一概には言えませんが、事業承継などに際して行われるビジョン策定よりも、事業面の成果に直結すること、人材の選抜の色合いが強くなることは特筆に値するポイントだと思います。

◆実は少ない「2つの企業理念の衝突」

M&Aに関して想像しやすいシチュエーションとしては、両方の会社にそれぞれMVVがあり、合併後それをどうやって共存させていくか?というものでしょう。

 

しかし、実際には、そこまで明確に譲れないMVVが存在するケース自体が珍しく、そもそも明確なMVVがない、あっても組織に深く浸透していなくて社員にも知られていないという状況の方が一般的です。つまり、二つの強烈な理念がM&Aによってぶつかるという事態は実はそれほど多くないのです。

 

したがって、もし片方の会社に優れたMVVが存在するのであれば、それを生かす形でもう一つの組織を取り込んでいくことになりますし、両方の組織にしっかりとしたMVVがないのであれば、「MVV策定のキモ「自社のDNA」はどう見つけるか?」(https://rinen-lab.encourage-inc.jp/times/column/701/)に書いたように両方の会社の過去を掘り下げてDNAを特定し、両社を上手に取り込んだ新しいMVVを策定・浸透していくことになります。

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