EVENT REPORT

高成長企業、ユーザベースが貫く
”異能は才能”の経営

高成長企業、ユーザベースが貫く”異能は才能”の経営

ソーシャル経済メディア「NewsPicks」や経済情報サービス「SPEEDA」を展開し、急成長を遂げてきたユーザベース社。創業5年目に策定した「The 7 Values」を軸に、多様性を貫く経営をアップデートし続けるCo-CEO/CTO稲垣 裕介氏にお話を聞きました。

(聞き手:企業理念ラボ代表 古谷繁明)

この記事は、2022年11月24日にユーザベース本社で開催された企業理念ラボ主催のサロンイベント「急成長企業ユーザベースが貫く”異能は才能”の経営」のレポートです。一部公開ができない発言は割愛している旨、ご了承ください。

お時間のない方は下記から興味のあるトピックを選んで読んでいただくこともできます。

この記事の目次

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「5年で100億円」26歳の絵空事が現実になるまで

古谷

「企業理念ラボ」として、バリューの策定をお手伝いさせていただいた当時は、まだ50人ほどの会社でしたが、その後、皆さんもご存じの通り、飛躍的な成長を遂げられ2022年現在では約1200人規模。成長の背景には、「多様性」を徹底的に大事にしてきた歴史があるわけですが、本日はユーザベース創業から現在に至るまでの成長を、組織の中の「多様性」を軸に、時に経営面の生々しいエピソードも交えていただきつつ、お話いただこうと思います。

稲垣

ユーザベースは、今から15年前、僕が26歳の時に創業した会社です。僕、梅田、新野の3人で創業しました。コンサルティングファームでキャリアを積んでいた新野良介、投資銀行での実務経験を経た梅田優祐、そして僕。僕と梅田は、愛知県の方田舎で一緒に自転車を漕いでいた仲で、一緒に東京に出てきてからも、梅田が「これ作りたい」と持ってくるアイデアを、僕がエンジニアとして「作ってあげるよ」と形にしていたという関係性でした。

 

そんなふうに、ユーザベースを創業する時も、梅田が持ってきた事業アイデアを一緒に形にしようと8畳一間のマンションで起業したという流れでしたね。

 

最初に何をしようとしたかというと、「SPEEDA(スピーダ)」という企業のファンダメンタル分析をするツールですね。例えば、ある自動車メーカーが中国で新たに事業を展開しようとした時に、現地のマーケットや競合、業種・業態などの情報を一瞬で調べられるようにしたいな、と。

 

コンサルティングファームと投資銀行出身のビジネスサイドに強い2人と、僕というエンジニアが手を携えてどうチームとしてやっていくか。これまで「SPEEDA」のようなものが存在しなかったのは、僕らのような組み合わせのチームがなかったということなのかなと思います。

古谷

実際、投資銀行やコンサルティングファーム出身の人間と僕みたいなエンジニアの人間が一緒に事業をやるというのは難しいんですね。バックグラウンドも違うし、同じ日本語でも言葉がなかなか通じない。意思疎通ができない。ただ共有した原体験はあったんですね。梅田と新野にしてみれば、当時BtoCのビジネスはGoogleもiPhoneも出てきてどんどん発展して便利になっているのに、なぜ自分たちが仕事をしているBtoBの世界はこんなにも古くて不便なのか、と。

 

エンジニアの私としては、BtoBのシステムを構築していく中で、融通のきかない部分があった。ある銀行のシステムを作っていたんですが、2年前の図面を元に作っているような感覚で、しかもウォーターフォール(滝)のように組織の上層部から指示が降りてくるので、現場で覆せない。「設計が間違ってるから変えたいんですけど」と言っても、それは追加予算が必要なので、とりあえず当初の計画通り作ってください、となり、自分たちのカラーが出せない。

 

また当時は、「オンプレ」と呼ばれていたインストール型の製品が主流だったので、お客様の「資産」になるわけです。今SaaS型と呼ばれるのは、運営側の「資産」になりますが。そうなると、テストされた古い技術しか使いたくないというお客さんの声がどうしても多くなってしまうんです。

 

この状況ではなかなか発展が難しい。これを変えていくためにビジネスサイドの人間とエンジニアが手を組んでスタートした、というのがユーザベースでした。

 

これが当時の事業計画書ですね。「絵空事」なんですけど(笑)。当時はこれを持ってVC(ベンチャーキャピタル)を一社ずつ回って投資をお願いしていました。創業から1-3年くらいで10億円いって、3-10年で100億円までいって、その先は500億円を目指してというふうに描き、一生懸命頭を下げて回っていたわけです。

 

そして15年が経って、今は売上としては180億円を超えるところまできました。メンバーとしてはグローバルも含めて1200名くらいの会社になってきています。SPEEDAを筆頭にBtoBのSaaS商品、その他、今はNewsPicksの知名度が高く792万人(2022年12月末時点)のユーザーを抱えています。グローバルではアメリカと中国で事業を展開しています。

 

起業当初、事業計画書を書いた時点で僕らは「SPEEDA一本であそこまで行くぞ」という想定をしていましたが、今はまったく違う世界に突入している感じです。多様性が与えてくれるいろんな力を借りてここまでこられたのかな、と思っています。

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商品ローンチまでの「潜る時期」に学んだこと

稲垣

現在のユーザベースを支えるチームに関してですが、残念ながら梅田と新野はすでに退任していない状態で、経営チームとしては新野がいますが、これだけいろいろな事業体とたくさんのメンバーを私一人でマネジメントすることは当然できないので、いかにチーム経営として新しい形を作っていくのか?という挑戦をしています。

 

その一環として、各事業体にCEOを置いて、経営チームを自由に作っていいという制度にしています。そうすることで、ユーザベース全体として責任を負いながら、各事業を自分ごと化して経営ができるのかというバランスを取ろうとしています。求心力と遠心力をうまく働かせて経営をしようとしているわけです。

 

これを実現するためには、ユーザベースの「The 7 Values」の中に「異能は才能」とあるように「多様性」が非常に重要になってきます。と同時に「規律」も必要になってくる。今日はこのあたりのバランスをいかに組織の中で実現しているかについて詳しくお話していこうと思います。

古谷

どこの会社も創業期は「絵空事」を描いてしまいがちだと思うんですが、それを実現できた一番の理由はどこにあるんでしょうか?

稲垣

精神論っぽく聞こえちゃうかもしれないんですが、やっぱり「3年で10億円、10年で100億円」と具体的な数字を置いたことは大きかったと思いますね。現状が、そこに対して足らないということは常に明確なので、そこに対して何ができるかを考え、もがき続けていく。

 

一時、「Newpicksを作るか、作らずに海外進出をするか」という議論が社内でありました。結局前者を選択したわけですが、それが正しかったかどうかは永遠にわからない。でも、どっちを選択しても確実に数字を追ったと思うんです。先に数字がありきというのは本末転倒かもしれません。でも、そこに「意思」があるから到達しようとする人間の力学があるのかな、と。

 

新しい「チーム経営」のありかたを実現していくために重要な「バリュー」について話していきたいと思います。設立当初、26歳で起業経験ゼロでコンフォートゾーンを飛び出して事業を立ち上げて、ほとんどパニックゾーンに足を踏み入れているという状況で、答えがまったく見えない状況で「どうするんだ?」ともがいていた。当時リーマンショックで経済的に厳しい状況で、社内にリソースも全然ないですし、一生懸命やっていてもついてこれないメンバーが現れたり、「結婚したい」というメンバーが相手の親から「娘をそんな無名のベンチャーで働いているやつにやれるか」と叱られて泣く泣く大手に転職していったりと……そういうことを噛み締めながら日々経営していたというのが現実でした。

 

お金もなければ、誰かに承認されることもなく、お互いの心もヒリヒリしているのでどうしても社内でケンカも多くなるという状況で、なかなか「正のサイクル」を生み出せないのがつらかったですね。経営層同士も、メンバー間でも、全方位でケンカが日常的に起きてました(苦笑)。

 

他にもお金を騙し取られたり、苦境をこぼすと周囲から「そんなにつらいなら解散したらいいんじゃないの?」と言われるのですが、その言葉が一番つらい。預貯金もどんどん減っていきますし。創業1年目(2008年)はこんな感じでした。

稲垣

逆に2年目になると、製品が完成してローンチして、それが伸びたんですね。やっぱり潜って作ってる期間はつらいんですね。というのも、マーケットに対峙できないので。すべてを自分たちの「中の世界」でフィードバックを重ねないといけないのがつらい。なので、実際製品を通して市場に触れて、もっとこうしてくれた方が嬉しいとか、競合とこういうポイントでコンペになったとか、具体的なお客様の声が届くことで、一緒に努力できるようになります。システムをローンチできたことで、見える世界が大きく変わった感覚がありました

古谷

1年目で作って、2年目で売ろう、というのは計画通りだったんですか?

稲垣

そう、計画通り(笑)。でも中身は全然違いました。1年で資金も尽きてしまいますし、必ずローンチすると決めていたのは大きかったですね。

 

こうしていろいろやっていく中で一番象徴的だったのは、新野との関係性でした。正直、彼は開発フェーズでは活きなかった人間だったと思うんです。システムのことは全然わからないですし。梅田はSQL(データの操作や定義を行うためのプログラミング言語)くらいなら一生懸命書いてくれたんですけど。必死こいてシステムを作らないといけないのに、「SQLも書こうとしないなんて何だよ!」と僕は結構キレてたんです(笑)。そんな中で新野は「対話しよう、対話しよう」って言ってくるんでけど、エンジニアの僕は「そんな暇があるならコード書け」と思っていたんです。

 

それが、ローンチ後、営業フェーズに変わった時に、彼の、大きな絵を描いて相手に伝えていくという対話力が非常にパワフルに働いたんですね。彼は営業中SPEEDAの製品の説明は全然しないんです。じゃあ、何の話をするかというと、いかにユーザベースという会社が素晴らしいか、どんな世界を見ていて、何を目指しているか、どんなメンバーがいるのかを話す。僕らが成長すると一緒にどんな世界を実現できるのかをひたすらプレゼンするので、彼が取ってくるお客さんは必ずファンになってくれるんです。僕たちは、サブスクモデルなので、そうなると、お客さんが通年でお金を払い続けて応援してくれながらフィードバックもくれるという最高の環境がもたらされるんですよね。

 

これって、エンジニアからすると本当にありがたくて。作った製品が使われるかって超重要で、「作ったけど使われない」はエンジニアにとってもっとも承認されない状況なんです。なので、この最高の環境を新野が与えてくれたことで、すごく信頼関係が生まれました。創業から2年が経った頃には彼に全幅の信頼がおけるようになり、やっと創業メンバー3人揃って笑顔の写真が撮れるようになりました(笑)。

 

以降は、3人の間で何か不信感を持つようなことは一度もなかったですし、給料も上がり、メディアに取り上げられて知名度も上がり、いいサイクルが回り始めました。

 

マーケットに出るまでの期間を戦い抜けるかが非常に重要ですし、この中で生まれたものが後に「バリュー」の根幹を成すものになったという感じですね。

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組織崩壊の危機「50人の壁」はこう乗り越えた

稲垣

SPEEDAをローンチして1-2年は、本当に「家族経営」みたいな感じでした。すごく仲のいいチームでみんなでバーベキューしたり合宿したり。阿吽の呼吸で楽しく経営ができていた時期です。それがだんだんできなくなってきたのが、いわゆる「50人の壁」ですね。

 

この頃ちょうど新野が体調不良で倒れてしまって、しばらく経営に参画できなくなってしまいます。そこで梅田と2人でやりながらも、経営面でいろいろなストラグル(葛藤)が起きてくる。そういう大変なタイミングで、模倣製品が出てきて裁判に訴える訴えないという話があったり、本当にいろんなことが次々に起きて。

 

そうすると、どうしてもメンバーたちも不安になりますし、僕ら経営と話したいと言われても忙しくてその時間が取れなかったりするわけです。だんだん経営とメンバーの間に距離ができてしまった。それで「このままじゃいけない」と思って新しく採用したメンバーを投入したりしたのですが、その新メンバーと僕ら経営のすり合わせが全然できてないので、逆に求心力が経営の2人から新メンバーにいってしまうという事態に陥ったこともありました。

 

例えば、その新メンバーが大企業出身で、彼が既存のメンバーの不満や口を集めて「利益代表」みたいな格好になってしまったりする。そうすると、組織がどんどん分断する方にいっちゃうんです。結果として、組織が完全に崩壊してしまった

 

「このままじゃダメだ」と本当に思いました。じゃあ、何ができるんだろう?と悩んで、療養中の新野のところに相談に行ったんですね。新野は創業当初から「対話しよう」と言っていましたが、同時に「バリューがあった方がいい」とも話していたんですね。それで今こそ「バリュー」を作った方がいいとなりました。

 

正直、僕はバリューの「バ」の字もわかっていなかったですし、梅田も僕と同じような感じでした。自分たちが創業からずっと大事にしてきたものはあったけれど、それを言語化することの価値をまったくわかっていなかったんですね。

 

大事なのは、無理くり作り出すんじゃなくて、今すでに大事にしていることを整理するという姿勢。そこには自分たち経営も意見を出しましたし、メンバーからもキーワードをどんどん拾っていきました。こうして集まった言葉を、MVV策定を専門とする「企業理念ラボ」のアドバイザーに長く使い続けられるよう伝わりやすく成形していただいたという感じです。

 

これをやった結果、本当に驚くほどいい方向に組織が向かっていきました。ある合宿の場で「The 7 Values(当時は「7つのルール」)」を発表して、そのまま飲み会に行ったんですけど、今でも忘れることができないのが、僕ら経営のところにメンバーが次から次へとやってきて、「このバリューはこういう解釈をしていいのか?」とか、「なぜ、これを入れなかったのか?」とか、「これを実現するには何をやればいいのか?」とか、すごく積極的に話し始めたんですね。それを見て改めて「すごい会社だな」と思えたというか。

 

メンバーの中の誰一人として怠けてないですし、一生懸命に会社をよくしようとしているのですが、そのエネルギーをまっすぐに向けられる場所を僕ら経営がこれまで作ってこなかったことに尽きるな、と反省もしましたね。「言葉があるというのは、こんなにも強いんだな」と。

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世界の優秀な人材を惹きつけた意外な「バリュー」

稲垣

これが「The 7 Values」なんですが、とにかく素晴らしいのは「短い」ってことですね。長いものは本当に組織に浸透しない。7ってちょっと多くないか、と言われることもあるんですが、実際にはちゃんとワーク(機能)しているので問題ないと思っています。3つとか少ない方がいいのかもしれないですが、7つで不都合を感じたことは正直ないですね。

稲垣

次は「The 7 Values」をグローバルに浸透させていこうとする時に、バリューだけだと抽象度が高いので海外のメンバーだとうまく浸透しきれないことがあって。たとえばスリランカのメンバーは、父親に歯向かってはいけないという文化があって、会社の「お父さん的存在」である僕のような経営層に何かを質問することが難しいそうなんですね。そこで、「The 7 Values」を噛み砕いた「31の約束(プロミス)」を作りました。それぞれのバリューについて、「DOs(やっていいこと)」と「Don’ts(やってはいけないこと)」をセットでわかりやすく言葉にしています。

稲垣

そこから、経営に明確に「バリュー」と「パーパス」を入れ込むようになりました。当たり前ですけど、ユーザベースは僕、梅野、新野がやりたいことを実現する会社ではないんです。そうではなくて、「経済情報という領域でビジネスパーソンのためのインフラを作る」というのがユーザベースのパーパスなので、それにふさわしい人が社長になり続ける会社にしよう、と。

古谷

ちょっと時系列を整理しておくと、パーパス/ミッションは創業当初からあって、組織崩壊の危機を迎えたのち創業5年目にしてバリューを策定したということですよね?

稲垣

そうです。現在のパーパス(経済情報の力で、誰もがビジネスを楽しめる世界をつくる)とは表現は異なりますが、ミッション(経済情報で、世界を変える)は創業当初からありました。「世界と経済」「ビジネスパーソンにとってのインフラ」という部分はずっとブレずにありますね。

古谷

新しい「チーム経営」において「The 7 Values」が果たした役割について、ここから詳しく伺っていきたいな、と思うのですが。

稲垣

「The 7 Values」のうち、ユーザベースの発展性の鍵を握っているのは「異能は才能」ですね。僕らの一番の根幹はおそらく「自由主義」なんですけど、「異能は才能」がなければ世界一には絶対になれないと思っています。作って10年になりますが、今も耐久性のある言葉として残っています。「異能は才能」の解説の中に「私たちは、価値観、経験、人種、国籍、民族、宗教、性的指向、身体・知的・精神特性、強み・弱みなど、一人ひとりの異なる個性を歓迎する」という一文があるのですが、特にこだわったのが「性的指向」です。

古谷

私はまさに、理念浸透アドバイザーとして、この「The 7 Values」の策定に関わったのですが、2010年当時、今ほどジェンダーに関する議論もない風潮の中で「性的指向」という言葉を入れたいとこだわられた点は、とても印象に残っています。

稲垣

この一文があるからユーザベースを選んでくれたメンバーが実は結構多かったですね。やはり、そこにはペイン(悩みの種)というか、課題があったんだな、と感じました。

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M&Aした会社と摩擦なく「社内文化」を共有するには?

稲垣

僕らはやっぱり天才じゃないので、一人でエンジニアリングもできれば、ユーザー体験の設計もできるわけじゃない。だから、みんなで力を合わせないといい製品は作れないよね、と。僕らはスティーブ・ジョブズにはなれないけれど、3人で力を合わせれば何かになれるんじゃないか、と創業当初に笑いながら話していました。それが、僕らがずっとチームを大切にしてきた象徴的な言葉だったんじゃないかと思います。

 

先ほどお話したように、創業2年目で開発フェーズから営業フェーズに移った時、新野の才能をエンジニアの僕が認められたように、「フェーズが変わると人の生き方も変わる」というのはとても大切な発見でした。人の才能を一つのところに押し込めるのではなくて、形を変えて発揮できるようにしなくてはいけないな、そういうふうに自分の認識を改めないと、と強く思ったわけです。その意味で、創業2年目の出来事は、「異能は才能」を一番象徴するものでした。

 

今もいろんな新しいメンバーが入ってきてくれるわけですが、「ユーザベースの未来を作ってくれるのはみんなである。過去のコンテクストは共有するけれども、過去に答えはないので、未来にある答えを一緒に作っていこう。それが僕らの考える『異能は才能』なんだ」という話をしています。ただ、もともとあった組織に対してこの話をするのはまだやりやすいんですが、すでに別の文化ができあがっている組織を買収する時は、難しかったですね。

 

僕らとしては「The 7 Values」を愛しているので、それに基づいて一緒にやっていこう、と考えているんですが、M&Aされた会社のメンバーは「自分たちの文化を尊重してほしい」と当然思っていますから。ここのすり合わせがすごく難しくて一時社内でも議論になりました。

 

本当に悩んだんですけど、一番しっくりきたのは、ジェフ・ベゾス率いるAmazonがザッポスを買収した事例ですね。ベゾスも言葉をすごく大事にする人なので、そのあたりをずっと微修正しながら経営してきた方だと思うんですが、買収後ザッポスに対してバリューを強要せず、一つのバリューに統一しようとしなかったというのは、すごいことだな、と。むしろ、ザッポスからいい制度を導入して変えていったわけですが、これは本当に素晴らしい事例ですよね。

 

自分たちを一つの「限界」として、他社を自分たちの色に染めていくのはよくある構図だし、そうしたくなっちゃいますよね。でも、新しい血を入れて、自分たちを変えていくという形のM&Aは本当に素晴らしいな、と。

 

自分たちも「自由主義」や「異能は才能」というバリューを掲げている以上は、こういう前向きな変化を起こし続けられる組織でありたいなと思いました。そこから言葉の定義を少し変えました。すなわち、あくまで「The 7 Values」はユーザベース・ホールディングスが掲げるバリューで、その下にある各事業部にはいろんな可能性があって、僕らがそこから学ぶこともたくさんあるはずなので、今後バリューは多様化していってもいいというふうに変えたんです。

 

僕らがグローバルカンパニーとしてすでに成功しているのならいいですが、今はまだ全然そうじゃないので、やはりそこは「多様性」の力を借りて成長していかなきゃいけないなと考えています。

 

実際、M&Aをしたあとは、相手の持っているバリューと「The 7 Values」を比べて、「ここは共通してるよね」とか「ここは違うね」「ここはユーザベースも取り込める余地があるよね」というふうに対話を重ねるようにしています。その対話の中で、相手が素晴らしいバリューを持っていて、自分たちのバリューを変えたくなることは最近時々ありますね。まだ実際に変えるには至ってないですが。

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自由でありながら、自浄作用が働き続ける組織

稲垣

そして「自由主義」の部分について。これは、かつて僕もスーツ着てコーディングしてましたし、新野も時間に縛られながら営業をしている中で、そういう形じゃなくても自分たちの働き方は実現できるんじゃないかという感覚があったんですね。あと、純粋にそうありたかったというか。せっかくゼロから自分たちで会社を作るんだから、自分たちが一番幸せになれる道を追求したいというのが、本当に素直な感情でした。

古谷

人の育成やマネジメントにおいて「自由主義」というバリューはどういうふうに生かされているんですか?

稲垣

「育成」という言葉に違和感があるんですよね。どっちかいうと「成長支援」の方がしっくりくるかな。何か特定の「型」があるわけではなく、「異能は才能」で満ち溢れているはずなので、その可能性を追求する時のアプローチも多様であっていいと考えています。もっとも本人の意思がこもり、「こうしたい!」という思いが最大化する状態、それをどうやって実現するかを考えて僕らは経営をやっています。

古谷

すごく共感するんですが、これを実現するのが難しいですよね。ユーザベースではなぜ実現できているんですか?

稲垣

根幹になっているのは、「自由主義」の裏側にある「責任」なんですよね。「責任」を認識し、自分の現状を認識し、自己成長・自己改革しようとする人でないとユーザベースでは働けないというのが前提としてあります。実際、ユーザベースで採用して失敗する一番多いのは、これが欠けているケースですね。

 

自分を認識できれば変われる可能性はあるんですけど、自分を認識できないと人って変われない。現在地がわからないので。過去の自分の失敗をどういうふうに自分の視点で見ているのかを複数回の面接で聞いていくと、だいたいは見極められるかな、と。

 

もう一つ重要な点が情報。「情報」って権力だと思うんですよね。情報を持ってるか持ってないかで人の行動はすごく変わります。それ自体が武器になってしまう。だから、できる限りの情報を開示することは、前提としてめちゃくちゃ重要なことだと思っています。ユーザベースは機密情報とプライバシー以外はすべて公開する、としています。そうすると、すべての情報にタッチできるようになるので、情報による不要な格差やトラブルを防げるようになります。結果として、自由主義はよりワーク(機能)するようになるんです。

古谷

情報公開がうまくいかなかった時もあるんですか?

稲垣

給与ですね、全員の給与の公開には様々なハードルがありました。当時起きていたのは、ジュニア(若手)のメンバーに対して高いタイトル(肩書き)をつけていたり、その逆もあったりで、人の評価の見立てがバラバラだったんです。それが、誰がどういうタイトルで、どのくらいの給与をもらっているかが公開されることで、仕事に対する適切な期待値が設定されると思うんですよね。それをベースにして、実際の仕事ぶりがどうかの評価が行われる。マネジメントに就いてからそれをやるのか、入社当初からそれができているのかで雲泥の差が出ます。人の見立てもすごくわかりやすくなりますし、それってリーダーやマネジャーの本質の部分でもあると思うんです。

 

人に正しくフィードバックできるか、も「自己認識」においては非常に重要なことです。僕は、フィードバックするまでは「言う側の責任」で、フィードバックされた後は「(言われた側である)自分の責任」だと思っています。フィードバックを正しく機能させるためには、「情報の開示」が重要なんです。今は僕の給与も全部公開されています。

古谷

でも、それは一朝一夕にできることではないですよね。

稲垣

そうですね、全部を一気にやると会社がぶっ壊れますね。なので、かなり丁寧にやらないといけないです。

 

3つ目が、「原則」と呼んでいるもので、ユーザベースで言うと「パーパス」や「バリュー」の話ですね。「自由主義」には究極的に答えがないと思うんです。環境や時代によって変わります。例えば、コロナ前とコロナ後では、「自由主義」の定義が皆さんの中で若干変わっていますが、そういう時に、僕らが一つ一つ細かく定義していくのか、それとも一人一人が自律的に考えて行動を変えていけるのか。これはかなり重要なポイントです。ここに解釈の幅があることが「原則」の強さであり難しさだな、と。でも僕らは逆に、「原則」に幅があるからこそ、みんなに「自由」を持ってもらえると考えています。だから、ルールは極力作らずに「原則」でいく、と決めています。

 

組織内でオープンに話していこうという時に、例えば「◯◯さん、これできてないじゃないですか」と指摘するのは、言う方も言われる方もつらいですよね。これが悪意を持って相手を貶めようとして話しているのか、相手が自分の可能性を信じて言ってくれているのかで全然感じ方が違いますよね。フィードバックをする相手が、最初からそういうつもりでいたら、言いやすくなりますし。そういう「正の連鎖」を作り出すことが大事だなと。

古谷

フィードバックはどういう頻度でやっているんですか?

稲垣

本来「随時」だと思うんですけど、今は3か月に1回シートに書いて体系的にフィードバックするということを主としています。でも、やっぱり人間同士がやっている以上、トラブルや課題は常にあるので、そういう時には常に「対話」をしていくことにしています。ただそれも難しいのが、初対面でいきなり性善説で対話というのは実際なかなか難しいと思うんです。そういう時は誰か信頼関係を紡いで、性善説を機能させられる人が入って対話するということは価値になるので、例えば、何かトラブルがあった時に私が間に入らせてもらって信頼関係を紡ぐという場面はあります。

 

1200名のメンバーがいて、コロナの影響もあり、僕が直接対話をしたことのあるメンバーは半分くらいだと思うんです。残りの部分は、直接リーダーと話してもらうというケースが圧倒的に多いかな、と。ちなみに一番最初、エンジニアチームのメンバーの中に全然働かないやつが一人いて(笑)、たまに僕が電話しても「今、秋葉原で部品買ってる」と。「ふざけんな!」って話なんですけど、問題は最後のアウトプットが出てないってことなんですよね。

 

当時は僕もメンバー一人一人と、「なんであいつは、あんな感じなのかな?」という話をしていたんですけど、「The 7 Values」ができてからは、自浄作用が働くようになっていったんです。私が何も言わなくても、その働かないメンバーは他のメンバーからいろいろ言われていて、居づらくなって言って。みんなが「こいつはちゃんと指導しないといけない」と意識が変わっていきました。そこまで到達できたのは強かったと思いますね。

古谷

この変化は「The 7 Values」のどこから生まれたのだと思いますか?

稲垣

やっぱり根幹は「自由主義」です。「自由主義」って難しい言葉ですよね。僕は究極サボっていてもいいと思っていて、チームとして自浄作用が働いていますし、アウトプットは明確なので、評価されずに降格していく。そこではちゃんとフェアなことが行われているわけで。それよりは残りの99%の人を信じていきます。

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【質問コーナー】社内の「奪う人」を排除する方法とは?

古谷

ここからはオーディエンスの皆さんから稲垣さんに質問をいただきたいと思います。

質問❶

自由主義で「ギバー(与える人)」が活躍できる組織を作っていく時に、「テイカー(奪う人)」をいかに排除していくかも非常に重要になってくると思います。自浄作用でテイカーを排除できるようになったということですが、どのタイミングでそれが働くようになったのですか?

稲垣

人数で言うと、100人未満くらいのタイミングでした。組織も一定の形で組織化されてきて、執行役員も入れた頃でした。それぞれが「The 7 Values」と向き合ってそれをチームにどう落としていくのか、組織としてより深く考えようとしていた時期でした。それより前の僕らがもっと求心力を持ってやっていたフェーズから、「The 7 Values」を前提にスケールする方向に振っていた頃に、それぞれが自分たちで考えなきゃいけないというふうになっていったのかもしれないですね。

質問❷

私も今日お話を伺っていて、まさに「自由主義」のところが難しいなと感じていました。「自主性を発揮してください」「頑張ってください」「会社の方向性はこうです」と伝えてはいても、自ら「型」にはまっていってしまう人は数割出てしまうという私自身の実感があります。

 

要は、言われたことは100%頑張りますが、言われないことはやれません、という感じ。現場レベルでは「あの子頑張ってるじゃん」となるのですが、経営層レベルにとっては「自主性がない」と否定的な評価になってしまう。御社では、本当の意味でどう自発的になるように持っていったのですか?

稲垣

バリューの問題と能力の問題は常に切り分けようという話をしています。何か文化的な問題や、直属の上司の指示によって、「自主性」が発揮できていないのであれば、おそらく何らかのバリューがネックになっているので、それを変えていきましょうとなる。

 

質問のケースは、わりと能力の問題に起因する部分が大きいのかなと感じていまして、いわゆる意思決定できる人材をどれだけ増やすかなのかな、と。これは経営のピースとしてもっとも重要で難しいと思います。私自身が、CEO、COO、CTOをやっていく中で、自分自身は「意思決定できている」と思っていたのですが、実はできていなかったことがすごくよくわかって。

 

当時の僕から見える景色だと、コストサイドは全部僕が決めることになっていたので、その点で迷うことはなかった。リソースも含めてこの体制がベストだ、これでいこうと判断できた。でも、いざ自分がCEOになった時に「トップラインを決める」ということができなかったんです。マーケットにコミットして上場企業として説明しなければならないという時に。もちろん既存事業の延長を描けるのですが、新規事業の先をどうするという際にすごく意思決定力を求められるわけです。もちろん、そのあたりの感覚もなければいけなかったですし、リスクをとってみんなに説明できるだけの強度や戦略がなければならなかったんですが、それが自分には難しかった。

 

基本的に、僕はアウトプットがすべてだと考えているんです。それは会議で発言一つするにしても、どこかで登壇するにしても、自分でちゃんとアウトプットする。アウトプットを続けていたら、必ず自分の考えや意見が出てくる。だから社内のメンバーには「必ずアウトプットしてくれ」と伝えています。これで変わりつつあるメンバーは徐々に出てきているので、ご質問に対する答えとしては、「とにかくアウトプットを積み重ねていく」ということになると思います。

質問❸

ユーザベースに入社される方は、何を求めていらっしゃるのでしょうか?「自由主義」に強く共感する人を採用しているのか、それとも仕事の難易度や、やりたいことベースで応募してこられるのかとか、そのあたりを教えてください。

稲垣

一番はやっぱり「何をしたいか」という話になります。ユーザベースでは「ウィル(will)」と呼んでいますが。そのウィルが、才能としてユーザベースの中でちゃんと花開くものかどうかですね。ただ、自己実現の要素として「お金」が入っているのも当然かなと考えていて、自分のやりたいことだったり、実現したい価値観だったり、それに対する給料だったり、それらの要素が整合しているかを一番見ていますね。

 

大きく分けると3つのことを見ています。「バリュー」「思い」「能力と給与の適合性」、この3つがちゃんと合う人っていうのはなかなかいない。でも一番間違ってはいけないのは「バリュー」だと思っていて、だから僕らはいつでも「バリュー」を最初に置いています。「バリュー」が合わない人は採用してはいけない、と。

 

言葉では「自由でありたい」とか「挑戦したい」とか、年下の人から何か言われても「オープンで、フラットでいいじゃないか」とか言ってくださる方は多い。しかし、実際にこれはあった話ですが、ある大手新聞社から転職されてきた人が、入社後一番最初の編集会議で年下の人から否定されただけで、めちゃくちゃ怒ってしまって、結局退職されるまでずっと引きずっていたんですね。やっぱり言うは易しで、本当にそれを実行できるかは難しいです。なので、そこをちゃんと見極められないと、どれだけ思いがあっても、どれだけ給与と本人の能力が適合していても、組織と合わない。

 

もう一つ、本人の「ウィル」と、パーパスやバリューの適合性に関しては、めちゃくちゃ合っていればそれに越したことはないのですが、ユーザベースの主力商品であるSPEEDAは正直専門的な難しいビジネスなので、「SPEEDAをやりたいです!」っていう人は少ないんですね。

 

特にエンジニアで多いのは、「これまでずっとゲームを作っていて、自分自身もゲームが大好きなんだけど、子どもが生まれてから『もっと社会的意義のあるインフラを作っている』と親として胸を張って言いたくなった。SPEEDAのことはよくわからないけど、きっと社会にいいことをしているからやりたい」といった声。こういう声をどうしていくか。僕らは、現時点ではこれをOKとしています。

 

「世の中にインフラを作りたい」という意思は合ってますから、「SPEEDAの中身がわからない」という部分は後からキャッチアップ可能なんじゃないか、と。能力と給与が適合しているという部分とバリューの部分、この2つがあればいいと考えています。採用面接ではそのあたりを見ていますね。

質問❹

パーパス経営をしていく中で正社員と業務委託は区別していますか?

稲垣

エンジニアはフリーランスも多かったですし、その点においては何ら差がないと思っています。(創業)当時は、フリーランスの方がすごく多かったんですね。エンジニアの中には会社に不信感があって「雇用されたくない」という人もいましたし。で、いざやってみると、「ユーザベースってすごくいいよね、入社したい」と言ってくれる人も現れた。ただ、正社員も業務委託も彼らからすると「そんなに差はないじゃん。業務委託のままでもいい」という感じでした。

 

その時に僕は「外からの見られ方が違うと思いますよ」と話して正社員としてジョインしてもらったんですね。結果として彼らは今、CTOやエンジニアフェローという役割についています。後から「どうだった?」と聞いてみると、「正社員になってめっちゃ変わった」と。ちゃんと所属して、オーナーシップを持ってやりきることに決めたから踏み込み方がまったく変わった、と。そこの差が心理的に生まれなければ、正社員でも業務委託でも本当にどっちでもいいと思います。でも、そこに少しでも差があるのであれば、より踏み込める道を選んでいきたいという感じですね。

質問❺

投資家や株主を含めた社内外のステークホルダーに対して、バリューや多様性を徹底的に貫く経営をすることの価値をどのように説明され、合意形成されてきたのかを知りたいです。従業員にどのように理念を浸透させて、どのように定点観測していくのか、そもそもその必要性はあるのかといった点も含めて教えてください。

稲垣

難しい質問ですね。お答えになっているかわからないですが、もともとユーザベースとしてミッションを掲げ、明確に言葉としてはなかったですが、バリュー的な文化は存在していた中で、もう一つ大事にしていたのが、僕らは何のために会社経営をしているのかという部分ですね。やっぱり自分たちの会社に関わる人に幸せになってほしいと思ったんですよね。なので「ステークホルダーを幸せにしたい」というのは、明確な文言として掲げてはいなかったですが、ずっと言い続けていました。

 

では、ステークホルダーとして集まってきてくださる方々は何を見ているのか。ユーザベースが何を成し遂げるのかを当然見ているわけです。そしてそれをどう何成し遂げようとしているのかという部分が、「バリュー」として存在していて、内部のステークホルダーだけでなく外部のステークホルダーにまで染み出していくものなんです。「ユーザーの理想から始める」もそうですし、バリューは、会社の行動を予測させるものだと思うんです。これをもって初めてステークホルダーの人たちは「この会社と付き合いたい」と思うはずで、全部循環しています。

 

なので、これを一貫性をもって矛盾なく、世の中の人にバリューを染み出させながら伝えていけるのかがすごく大切だと考えています。実際投資家も、バリューが好きでユーザベースに投資している方々が結構いらっしゃるんです。すごくありがたいことですが。この約束をいかに一貫して守り続けることができるか。それが非常に重要なポイントだと認識して対話を続けています。

質問

今日の会場となっているユーザベースさんの1階のイベントスペース、とても素敵ですが、今(2022年11月現在)どのくらいの社員さんが出社されていますか?

 

というのも、実は今年7月に弊社もオフィスを移転しておしゃれな内装にしたんです。コロナでリモートワークを導入したことで社員が自宅で仕事をすることの「楽さ」を味わってしまってなかなか出社してくれなくなってしまい、コミュニケーションの面で危機感があったので。でも出社する人が増えなくて。会わずに本当にチームビルディングの構築や事業のスケールができるか疑問です、そのあたりはどう考えていますか?

古谷

私の体感値でお答えすると、東京オフィスで1000人いるかいないかくらいでそのうち多い時で300〜400人くらい出社している感じですね。常にオフィスにいるのは全体の3分の1くらいでしょうか。最近、出社する人がちょっと増えてきているかなという感じです。

 

ユーザベースの場合、コロナ禍が始まってからもそれまでいた社員の離職率は変わりませんでした。ところが、新しく採用したメンバーの離職率が一時期3倍に跳ね上がったことがありました。それはやはり、対面でのトラスト(信頼)があったからリモートになっても話せる人がいて成立していたんだと思います。社内のことがまったくわからないのにフルリモートとなってしまった人は難しかったという話ですね。そこで一気に施策を変えてコミュニケーションを取るという取り組みをしました。現時点では、離職率の数字はいったんは落ち着いていますが、実態を見てみると、やはりコロナ前から会社にいた人同士の関係性とは全然違うなと思います。

 

先ほどの性善説の話じゃないですけど、基本的に信頼のループが繋がっていく範囲であれば、みんなが自由にリモートワークでやっていても大丈夫なのですが、そうではない状態でのフルリモートは非常に危ういと思います。なので、今ユーザベースでも出社の定義をどうしていくかはちょうど話しているところです。

 

基本的に対面で話をして信頼関係を築いてからのフルリモートは別に問題ないんですよね。ただ、そうじゃないところだけは変えていこうと強く言いたいです。具体で言うと、合宿の推奨は今やってますね。泊まりじゃなくてもいいんですが、1日は対面で会って話して信頼関係を作ろう、と。残りの29日はリモートでいいんですが、とにかく会って対話をしてほしいと伝えています。

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株式会社ユーザベース 

稲垣 裕介さん

愛知県出身。大学卒業後、アビームコンサルティング株式会社に入社。プロジェクト責任者として全社システム戦略の立案、金融機関の大規模データベースの設計、構築等に従事。2008年に新野良介、梅田優祐とともにユーザベースを創業。2022年から現職。人と酒が大好き。夏はBBQ会を率先して開催。

会社情報

社名
株式会社ユーザベース
代表者
代表取締役 Co-CEO/CTO 稲垣 裕介
本社所在地
東京都 千代田区 丸の内2-5-2 三菱ビル
従業員数
1134名(2023年1月1日時点)
創業
2008年4月1日
事業内容
企業活動の意思決定を支えるビジネス情報インフラの提供
会社サイト
https://www.uzabase.com/jp/
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