行動指針(クレド)を幼稚園の職員が主体となって策定したことで、採用にも好影響/もみじグループ

行動指針を策定しているが「従業員に浸透できているのか」と不安を抱えている経営者はたくさんいます。

行動指針が浸透していなければ、より良い組織に成長できません。

従業員全員が行動理念を理解し、自走する組織にするためには、従業員たちが主体的に考え行動する必要があります。

今回は社員を主体とした行動指針の策定を行った、もみじグループの尾上貴彦氏とその兄雅彦氏にお話を伺いました。

今日お話を伺うのはこの方

もみじグループ 尾上 貴彦 氏

学校法人福岡幼児学園理事
2016年から家業である学校法人に戻り、福岡市の紅葉幼稚園で勤務をスタート。

2019年には“これからの子ども・子育て支援”をテーマに『もみじのいえ保育園』を開園し園長を務める。
同年、「豊かな家族の時間が、より豊かな社会をつくる」という理念のもと『株式会社かぞくのじかん』を立ち上げる。

もみじグループ 尾上 雅彦 氏

社会福祉法人信正会 理事
もみじグループ尾上貴彦さんの兄。

現在東京と福岡で10の保育施設を弟の貴彦さんと共に経営。

弟からは「ポンコツな兄貴」と呼ばれているとのこと(笑)

ホームページリニューアルの相談から始まった行動指針の言語化


企業理念ラボイベントにてゲストトーク中のお二人

Q.古谷さんには、どのような経緯で仕事をお願いしたのでしょうか?

2018年の1月、新年会の際に飲み会をしていて、その時に古谷さんも出席されていて出会いました。

飲み会の時は幼稚園で使用していたホームページが古くてわかりにくい状態だったため、リニューアルしたい思いがありました。

その1月の新年会の際に古谷さんに「どうにかできないでしょうか?」と話をしたのがきっかけです。

古谷さんは賢い方なので、A4一枚の簡潔な提案書を見せながら「このような感じでやった方が良いのでは」と提案してくださいました。

提案内容は、理念の言語化からスタートして、ホームページなどのツールは理念をきちんと定めた後にリニューアルするというものでした。

理念の言語化は考えてもいなかったのですが、良い機会だなと思い、同年の5月頃からプロジェクトがスタートしました。

最初出会ったとき、古谷さんの「キックボクサー日本ランク1位で東大卒」という経歴と人柄から、この人変態だなと思ったんですよね。

私は変態が好きなので、仲良くなったという経緯もあります。(笑)

プロジェクト後半で戦々恐々としていた職員の成長ぶりを実感

Q.職員にどのような教育理念・行動指針を広めたいと考えていましたか?

僕らの家業は40年以上歴史があるので、一応教育理念や行動指針は先代からありました。

職員にも理解してもらって働いていたと思っていたのですが、本当の意味で

● 職員がどのように働きたいのか
● どのような子どもたちを育てていきたいのか

という定義から、もう1回ゼロベースで実施していきたいと考えていましたね。

Q.プロジェクトはどのように進められましたか?

トップダウンでやりすぎると良くないかなと思ったので、始めに10名くらい現場で子どもを見ている先生の教室を訪ねて、副園長でもある私(尾上 貴彦)が放課後に個別でスカウトしました。

明らかに先生達の顔はこわばりますよね。(笑)

「今度◯日に新しいことを始めるから来て」と伝えて、戦々恐々とした雰囲気で始まりました。

集まった先生達は、ビジネスミーティングすらしたことないんですよね。

大学生の時から保育士や教育者の免許を取るための勉強をしてきた方々のため、一般企業のような考え方が浸透していません。

そのためビジネスミーティングは、余計に緊張していたと思います。

最初は2〜3週間に1回くらい、3時間のミーティングを組みながら言語化するためのプロジェクトが始まりました。

具体的な活動としては、理事長や保護者、OBへのインタビューなどを行いました。

また、日頃働いている中で先生方が意識していることをディカッションしてピックアップしましたね。

最終的には8つの言葉を選んで、職員の行動指針を定めました。

最後は、コピーライターの方にもお願いして言葉を仕上げています。

最初の30時間はクレドを作るための時間とし、部活みたいな感じで放課後に、皆でミーティングをしていました。

Q.プロジェクトの感想をお聞かせください。

初めは職員の方々も戦々恐々としていましたが、後半の伸びしろに驚きました。

中学校や高校の部活を想像すると分かりやすく、3年間部活に取り組んだ学生は非常に成長しますよね。

それと似たような光景が見られました。

職員もミーティング中は、活動に没頭して取り組んでいたのが印象的です。

経験したことがないゼロベースから取り組んで、ここまで成長するのだなと。

プロジェクトが始まった当初は、職員さんは物事を改善していくためのフィードバックの仕方を知りません。

そのためミーティングの最後30分で、メンバーから進行役のリーダーやサブリーダーへのフィードバックの時間を設けていました。

時には「改善点を指摘しきれていない!」「そのようなフィードバックではだめだ!」と古谷さんが怖い顔でダメ出ししていました。

あまりの怖さにその後の保育に影響が出ないか心配していましたが、とにかく職員の方も真面目に取り組んで成長につなげてくれたと思います。

一番大変だったのは、僕や雅彦さんがあえて口を出さないでいることですね。

職員に任せることを意識して我慢しました。

ミーティングにはかなり参加しましたが、それでも最後までなるべく口を出さず最後にフィードバックする形を取りました。

クレドの策定・浸透により、採用面のミスマッチが激減

Q.クレドはどのように浸透させましたか?

クレドは2019年には仕上がりまして、同年4月からは浸透活動に力を入れています。

最初の1年くらいは古谷さんにもサポートしていただきながら浸透の土台を作り、一昨年からは職員のみで進めていきました。

部活の延長の考え方で毎年アワードを開催しようと決めていました。

1年目に古谷さんたちに相談しながらアワードを開催したときは、ひどい状態だったのを覚えています。

2年目にはレベルアップして、3年目には心から素晴らしいと言える会になったと感じています。

行動指針を伝わる形に変える作業はしましたが、保育をしながらどう意識していくのかは課題ですよね。

Q.クレド浸透の課題を克服した方法を教えてください。

クレド浸透の課題を克服するために、私達は2週間に1回、職員に8つのクレドから1つを選んで意識して働いてもらうという取り組みを行いました。

その後、同僚のうち誰が2週間の間にそれを一番できていたか、その行動をピックアップすることを1年間通してやっていました。

例えば「情熱をエンジンに」を選んだなら、誰が「情熱をエンジンに」という指針の元に行動できていたのか、具体的な行動は何だったのかをピックアックしていくような流れですね。

その中でさらに良い行動を選定して、いくつか抜粋して表彰していました。

Q.プロジェクト中の取り組みについて教えてください。

プロジェクト中は、他にもリクルート用のポスターを作成しました。

プロジェクトの最中に施設数も3から10施設に増えまして、従業員数も280人へと増えました。

毎年1か2施設、かなり無理をしながら増やしていきましたね。

1つの施設に20人くらい保育士さんや専門職の方を採用するんですが、2施設の開業となると年間50名ほどの採用が必要になります。

加えて、既存施設で1施設あたり2〜3名は出入りがあるとするとプラス10〜20名必要です。

となるとトータルで、年間60〜70名くらい採用する必要があります。

しかも保育士資格持っている人となると、比較的難易度の高い採用活動が求められると考えています。

この採用数を達成させるために、リクルートのポスターを古谷さんと考えて作りました。

作ったポスターも非常に良く、2020日本BtoB広告賞で3位を獲得しました。

その年は確か1位がNECさん、2位クボタさん、3位もみじグループだったと思います。

古谷さんのおかげで、全国にもみじの名が轟いたと思っています。

Q.採用面での効果について教えてください。

クレドを浸透させることで、採用面はミスマッチが減りましたね。

新人教育に皆で決めた8つのクレドは入れており、教育面に反映していくことで人間性のミスマッチが減った印象です。

入社していただいた方々にアンケートを取ったところ、クレドに引き寄せられて応募した方もいらっしゃいます。

そのため、採用には大いに効果が出ているなと感じます。

企業理念の浸透で悩んでいる方へメッセージ

最初にプロジェクトを始めた頃は、ビジネスミーティングの経験が浅い職員でクレドを策定・浸透できるか不安でした。

しかし、職員たちは期待以上に成長し、浸透も順調に進んでいます。

我々はさらに浸透を進め、組織の意識統一を図っていきたいと考えています。

これから浸透段階に進む企業さまの参考になれば幸いです。

〈会社概要〉

  • グループ名:もみじグループ
  • 理事長:尾上 正史
  • 従業員数:280名
  • 事業内容:幼稚園・認可保育所・認定こども園・企業主導型保育所の運営

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